雇用保険料率は財政状況に応じて毎年度、見直しが行われています。2023年度の雇用保険料率は、2022年度の下期からさらに引き上げられることになりましたので、その内容と従業員が雇用保険から受けられる各種給付について確認します。
■ 2023年度の雇用保険料率
2022年度はコロナ禍で雇用保険料率を引き上げることに対する労使の負担感が考慮され、上期と下期の2段階での引上げとなりました。2023年度は2022年度の下期の雇用保険料率からさらに従業員負担・会社負担ともに1/1,000引上げられ、下表のとおりとなります。
表 2023年度の雇用保険率
従業員負担 | 会社負担 | 合計 | |
一般の事業 | 6/1.000 | 9.5/1.000 | 15.5/1.000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 7/1.000 | 10.5/1.000 | 17.5/1.000 |
建設の | 7/1.000 | 11.5/1.000 | 18.5/1.000 |
■ 雇用保険の給付
雇用保険の給付は、大きく「育児休業給付」と「失業等給付」に分かれます。
育児休業給付
育児・介護休業法における育児休業および出生時育児休業を取得した際に行われる給付です。育児休業給付金は、雇用保険の被保険者の方が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得して、要件を満たした場合に支給されます。
また、出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者の方が、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得して、要件を満たした場合に支給されます。
失業等給付
従業員が失業した場合や会社が従業員を継続して雇用することが難しくなるような事由が生じた場合に、従業員(退職者を合む)に必要な給付を行うとともに、その生活及び雇用の安定を図るための給付です。大きく分けて、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4種類から構成されています。
■ 失業等給付における各給付の概要
求職者給付
従業員が退職した場合に支給される基本手当を中心に、失業者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にすることを目的として支給されるもの。
・ 基本手当 ・ 技能習得手当 ・ 傷病手当 など
就職促進給付
失業者が早期に再就職した際に支給される再就職手当等、失業者が再就職することを援助、促進することが主目的とされたもの。
・ 就業手当 ・ 再就職手当 ・ 就業促進定着手当 など
教育訓練給付
労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を目的とするもの。
・ 教育訓練給付金 ・ 教育訓練支援給付金
雇用継続給付
従業員の職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的とするもの。
・ 高年齢雇用継続基本給付金 ・ 育児休業給付金 ・ 介護休業給付金 など
なお、普段従業員が負担している雇用保険料が上記の各種給付の財源として充てられています。
雇用保険料率が引き上げられ、従業員の負担感が増すタイミングであることから、雇用保険にどのような給付が設けられているか従業員にも周知するとよいでしょう。 例えば、 教育訓練給付を利用することで、働きながらスキルアップできる仕組みがあることを伝えることもその一つです。
しっかりと説明をし、理解を得ることで従業員の不安感を事前に取り除いておきましょう。