~代表・三輪康信からのメッセージ~
「有難う」の効用―言葉が心を潤すとき
社内木鶏会感想文 & チアレッジタイムズ委員会より
「有難う」の効用―言葉が心を潤すとき
「人間の心は庭のようなもの。庭は手入れを怠ると荒れてしまう。人の心もそう」、この誌面でも以前に引用していますが、イギリスの思想家、ジェームズ・アレンさんの言葉です。
人の心も庭と一緒、手入れをしなければ、雑草が生え、現状維持ではなく、荒れていくんです。では、どうしたら心の手入れができるのでしょうか?
プラスの言葉・行動が自分の心を照らしてくれる
ゴミを拾う、感謝の氣持ちを伝える、人に笑顔で接する――そうしたことを意識せずとも自然にできる人がいます。日々の行動を通じて雑草を取り除き、水を注ぎ、栄養を行き渡らせるように、心という庭を整える習慣を身につけているのでしょう。
誰かが席を立った後のイスをそっと直す、電車で席を譲る、そうした知らない誰かのための行為の後は、清々しさを感じます。そんな小さな行動を重ねることが心の手入れとなり、自己肯定感にもつながっていくのではないでしょうか。その心持ちは表情や言葉に滲み出て、関わる人にも自然と伝わっていくはずです。
先日、11 年間、共に会社を支えてくれている寺田光太郎君(労務担当マネージャー)の誕生日に、私は「寺田君のいいところTOP20」という手書きのリストを渡して、改めて「有難う」の氣持ちを伝えました。
仕事ではつい厳しいことを言ってしまいますが、だからこそ「あなたにはこんなに素晴らしいところがある」「あなたがいてくれて有難い」と感謝と共に伝えたかったのです。
「あなたのいいところは…」と聞いた本人が嬉しいのは勿論でしょうが、相手のいいところを見ようとする意識は、実は、私自身の心にもプラスになりました。
お金を払った時こそ「有難う」
無表情で応対しているコンビニの店員さんを見かけます。もしかしたら、彼らは傷つかないように心にバリアをはっているのかもしれません。せっかく笑顔を向けても無愛想だったり、ただ「早くしてくれ!」と素っ気なくされたらガッカリしますから。
でも近くにコンビニがあるから深夜でも不自由なく買い物ができるし、遠くまで行かずにすんでいます。有難いです。
そもそも、誰かに、何かをやってもらったからお金を払っているわけです。「お金を払ったからといってお礼を言わない理由にはならない。身近な人にこそ『有難う』が大事だ」と池田東史雄先生から教わりました。
ようやく言えた「産んでくれて有難う」
その池田先生の「人間力向上研修」の課程で〝親に『産んでくれて有難う』と言うこと〟という課題が出されたことがあります。「『有難う』の原点は両親への感謝だ」と。
私は小さい頃からかなりヤンチャで、母とはお互い激しい応酬をしたりもしていて、一人暮らしを始めたのも早かったですし、どうやって言ったらいいのかと、途方にくれました。
でも課題だから言わなくてはいけません。子供を連れて実家に泊まりに行き「今日こそ言おう」と勢いこんで行ったのに言えずに帰る。今度こそ言うぞ!と向かっても、またも言えずに帰る。そんなことを繰り返しました。
気恥ずかしいし、「今はそのタイミングじゃないな」とか、「今、ここで言っても唐突すぎるよな」とか考えてしまうんですね。
ある時、母の背中の上で私の子供が足踏みで「マッサージしてあげて」いたんです。母はうつ伏せになっていてお互いの顔が見えない状態、「ここだ!」と思って私が代わりました。
母も私に代わったことがわかったのでしょう。「あぁ、氣持ちいいねぇ」と呟く母の背中に向かってようやく言えました。
「おふくろ、産んでくれて有難う」
母は泣いていました。私も身体が震えていました。「やっと言えた!」という充足感と共にじんわりと心が温まっていきました。以来、両親との関係性もさらに良くなったように感じます。
身近な人にこそ伝えていく
身近な職場や家庭でこそ、感謝の言葉を口に出すことが大事。感謝の言葉は互いの心の庭に水を注ぎ、周囲の空気を変えていきます。
ともすれば人は「こんなことはしてもらって当たり前」と「当たり前」の基準が上がってしまうもの。近しい人ほど、なおさらそうなりがちかもしれません。
「有難う」とは「有ることが難しいほど貴重なこと」への感謝の言葉です。この言葉を口に出していくことは、当たり前の基準を下げる効果もあるのだと思います。
言葉が氣をつくります。「疲れた」と言っても疲れはとれません。「疲れた」と言いそうになったら「充実してるな!」と言い換える。バスが定刻通りにこなくてもイライラせずに「日を浴びる時間ができた!」と無理やりにでもプラスに転換してみる。
心の手入れを意識することで言葉が、表情が、行動が変わり、人との関係も変わっていきます。そうした変化が人生を動かしていくのではないでしょうか。
「感謝の気持ちを持て」と言われても難しいですが、「ただ、とにかく『有難う』と言う」のは、やろうと思えばできること。母への「産んでくれて有難う」も、なかなかにハードルが高かったですが、言えてよかった言葉です。
【社内木鶏会 感想文】
*人間学を学べる月刊誌「致知」をテキストに「社内木鶏会」を毎月、開催しています。全員が指定された記事の感想文を発表し、その中で選ばれた感想文です。
<特集 日用心法> 日用心法とは、日常生活を送るうえでどのような心の工夫や生活習慣を心掛けているか、ということである。 |
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<今月の選出感想文>
特集の中で紹介されている日用心法は、いずれも実際の経験から生まれた言葉だと思います。「これから◯◯をしよう」と決め、毎日◯◯を心がけて生活する。その背景には、そうすることで心が安定したり、小さくても良い結果が得られることを実感した経験があるのだと思います。
私にも日用心法のようなものがあります。それは「ありがとうを伝えること」です。意識して心がけるようになったのはここ10 年ほどですが、それ以前も無意識には口にしていたと思います。今あらためて心がけているのは、特にお店の店員さんに対して「ありがとう」を伝えることです。アパレルや雑貨店、飲食店はもちろんですが、最近は特に外国人の店員さんに、きちんと聞こえるように伝えるようにしています。
日本人は礼儀正しい文化の中にいて、「ありがとう」が当たり前すぎるため、あえて言葉にしない人もいるのではないかと思います。例えばコンビニで、外国人の店員さんから袋に入れた商品を受け取るとき、はっきりと「ありがとうございます」と伝えると、相手も丁寧に「ありがとう」を返してくれます。「ありがとう」は相手の行動に対する感謝や評価を表していると感じます。
もちろん、この言葉を相手がどのように受け取っているかは分かりません。けれども、お客さんによっては会計から退店まで一言も発さない人もいます。店員さんも慣れていて気にしていないかもしれませんが、私は「当たり前ではない」と思い、だからこそ「ありがとう」を伝えたいのです。
結局のところ、なぜそうしているのかという理由は後付けかもしれません。けれども、「よき人生を生きた人は、よき日用心法を実践した人」であるならば、日常のささいな行動に前向きな意味を見つけ、続けていくことが大切だと感じています。
〔労務チーム:大井 美樹〕
【チアレッジ流お出迎え】
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