「社労士の顧問料は、いくらが妥当なのだろうか」。顧問社労士をお探しの方、あるいは今の事務所からの切り替えをご検討中の方から、最も多くいただくご質問です。
ところが、インターネットで「社労士 顧問料 相場」と検索しても、金額に大きな幅があり、かえって分からなくなってしまったという声をよく伺います。実はこれには、はっきりとした理由があります。
この記事では、顧問料が分かりにくくなっている理由と、複数の事務所を比較するときに必ず確認しておきたい5つのポイントを整理します。金額そのものよりも、「その金額に何が含まれているか」を見分けられるようになることを目指した内容です。
なぜ「相場」を調べても、はっきりした答えが出てこないのか
理由は大きく2つあります。
理由1 報酬の基準が定められていない
かつては社会保険労務士会が報酬の基準を定めていましたが、現在この基準は廃止されており、報酬額は各事務所が自由に設定しています。そのため、同じ業務を依頼しても事務所によって金額が異なるのは、制度上、当然のことなのです。
理由2 「顧問料」という言葉が指す範囲が事務所ごとに違う
これがより大きな理由です。ある事務所の「顧問料」には手続き業務が含まれ、別の事務所では相談対応のみ。給与計算は別料金の場合もあれば、含まれている場合もあります。
つまり、金額だけを並べて比較しても、そもそも比べているものが違うという状態が起きています。「A事務所は月3万円、B事務所は月8万円」という情報だけでは、どちらが割安なのかは判断できません。
社労士に依頼する業務は、大きく3つに分かれます
比較の土俵をそろえるために、まず業務の種類を押さえておきましょう。多くの事務所では、次の3つの組み合わせで料金が構成されています。
労務相談顧問
就業規則の解釈、労働時間や休暇の運用、問題が起きたときの対応方針など、人事労務に関するご相談に継続的に対応するものです。手続き業務は含まないことが一般的です。
手続きアウトソーシング
入社・退社に伴う社会保険や雇用保険の手続き、年度更新、算定基礎届といった行政への届出を代行するものです。従業員数と手続きの発生件数に応じて金額が変わります。
給与計算アウトソーシング
毎月の給与計算、賞与計算、社会保険料や住民税の反映などを代行するものです。従業員数に応じた料金設定が一般的です。
ご検討にあたっては、「自社が本当に手放したいのはどれか」を先に決めておくと、見積りの比較が格段にしやすくなります。すべてを任せたいのか、判断に迷ったときだけ相談したいのかによって、必要な契約の形は変わります。
顧問料を左右する3つの要素
金額を大きく動かすのは、次の3点です。
・従業員数 手続きも給与計算も、人数に比例して業務量が増えるため、多くの事務所が人数帯による料金表を設けています。
・依頼する範囲 相談のみか、手続きまで含むか、給与計算まで含むか。前述の3区分のどこまでを任せるかです。
・やり取りの方法 紙と郵送でのやり取りが中心か、クラウドで完結するか。これは金額そのものだけでなく、後述する「社内に残る手間」に直結します。
見積りを受け取ったら、必ず確認したい5つのこと
1 顧問料に含まれる範囲と、別料金になる業務の線引き
最も確認していただきたい点です。就業規則の作成・変更、助成金の申請、労働基準監督署の調査対応、労働トラブルが起きたときの対応などは、顧問料に含まれる場合と、別途費用が発生する場合があります。
「顧問料は安かったが、必要な場面ごとに追加費用が発生し、結果的に高くついた」というお話は少なくありません。安いか高いかではなく、どこからが別料金なのかを、契約前に書面で確認しておくことが大切です。
2 従業員が増えたときの改定ルール
成長中の会社ほど重要です。人数帯が変わったときに、いつ、どのように料金が改定されるのか。年に1回の見直しなのか、超えた翌月からなのか。あらかじめ分かっていれば、採用計画と合わせて予算を立てられます。
3 相談の回数や手段に制限があるか
「相談し放題」と書かれていても、実際には手段が限られている場合があります。電話のみなのか、メールやチャットでも受け付けてもらえるのか。回数の上限はあるのか。
人事労務のご相談は、「今まさに判断したい」というタイミングで発生します。気軽に相談できるかどうかは、金額以上に価値を左右します。
4 担当者は1名か、複数名の体制か
担当者が1名の場合、その方が不在のときや退職されたときに、対応が止まってしまうことがあります。複数名で担当する体制であれば、どちらかが不在でも対応が続きます。引き継ぎの負担も軽くなります。
5 情報のやり取りは、紙と電話が中心か
見落とされがちですが、実は総コストへの影響が大きい項目です。
手続きのたびに紙の書類を印刷し、押印し、郵送する。その控えをファイルに綴じて保管する。この一連の作業は、社労士側ではなく会社側の手間として残ります。顧問料が月1万円安くても、社内で毎月数時間の作業が発生しているのであれば、会社全体で見たときの負担は必ずしも軽くなっていません。
金額だけを比べると見落とすもの
顧問料の比較で本当に見るべきなのは、支払う金額と、社内に残る手間を合わせた「総コスト」です。
たとえば入社手続きひとつをとっても、必要書類を紙で集めて社労士へ送る方式と、ご本人にクラウド上で入力していただき、そのまま電子申請まで進む方式とでは、担当者の作業時間は大きく変わります。人事担当の方の時間は、本来もっと会社の成長に直結する仕事に使えるはずのものです。
私たちが人事労務のDX化を重視しているのは、この点にあります。会社の負担を減らし、担当者の方が本来の業務に集中できる状態をつくることが、顧問料の金額以上に大きな価値になると考えているためです。
まとめ
社労士の顧問料に一律の相場が存在しないのは、報酬基準が定められていないことに加え、「顧問料」に含まれる業務の範囲が事務所ごとに異なるためです。
比較の際は、次の順序で確認されることをおすすめします。
・自社が手放したい業務はどれか(相談・手続き・給与計算)を先に決める
・その範囲がどこまで顧問料に含まれるかを、書面で確認する
・人数が増えたときの改定ルールを確認する
・相談の手段と、担当体制を確認する
・社内に残る手間まで含めた総コストで比べる
チアレッジでは、料金体系のページで各業務の金額を公開しています。従業員数の区分ごとに記載していますので、御社の規模でおよそどの程度になるかをその場でご確認いただけます。
また、初めて顧問社労士をお探しの方にはこちらのページを、現在の顧問社労士からの切り替えをご検討中の方にはこちらのページをご用意しています。
「今の契約に何が含まれているのか分からない」「見積りの内容が適正か判断できない」といった段階のご相談でも構いません。お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。














