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投稿日:2025年3月1日

労働条件の不利益変更とは? 会社が注意すべきポイントと対策

法改正や年度替わりのタイミングで就業規則の見直しをする会社も多いと思います。その他にも、経営的な判断で、就業規則で定める労働条件の変更が避けられない場面があります。

労働契約及び就業規則の変更は、労働契約法第8条及び第9条において“労働者及び使用者の合意”が必要であると定められており、原則として、会社が一方的に変更することは認められていません。

諸般の事情により、就業規則を変更し、労働条件を従業員に不利益となる変更を行う際には慎重な対応が求められます。今回は、不利益変更の定義や注意点、トラブル防止のための対策について解説します。

1. 労働条件の不利益変更とは?

不利益変更とは、労働契約や就業規則の変更により、会社が一方的に労働条件を従業員にとって不利益となるものに変更することを指します。
具体的には、基本給の減額や手当の廃止などの賃金の引き下げや所定労働時間の延長、休暇制度の廃止などがそれに当たります。他にも、慶弔見舞金の減額や廃止、福利厚生の縮小、遠方への転勤や業務内容の大幅な変更なども不利益変更に該当する場合があります。
不利益変更は、経済的な不利益に限られていないので、注意が必要です。

2. 就業規則を変更する際の要件

それでは、会社経営においてやむを得ず就業規則を変更する必要がある場合にはどのようにすればいいのでしょうか?

就業規則の変更には、原則として“使用者及び労働者の合意”が必要です。しかし、合意がなければ変更できないのでは、経営に大きな影響を与えかねません。そこで、労働契約法第10条では、就業規則の変更が認められるための条件として、以下の要件が示されています。

●変更後の就業規則を労働者に周知させること
●労働者の受ける不利益の程度、変更の必要性、変更内容の相当性、交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること

これらの要件を満たしている場合には、従業員の同意がなくても就業規則を変更することができます。
しかしながら、変更内容に社会通念上の相当性があり、合理的なものであるかどうかは非常に難しい判断となります。そのため、後々トラブルとならないよう対策をとることが重要です。

3. トラブルを防ぐための対策

(1) 従業員へ事前の説明と協議
変更内容とその必要性について説明会を実施し、意見聴取を行うなど、労働者の合意形成を図ることが重要です。

(2) 経過措置や代替措置の導入
いきなりの変更では従業員の負担が大きくなり、理解を得るのは難しいでしょう。そこで、給与の減額や手当の廃止など、影響が大きい変更を行 う場合は、段階的な移行措置や代替措置を導入し、従業員の負担を軽減したり、納得できる対策をとることが望ましいです。

 


労働条件の不利益変更は、会社経営上、避けられない場合もありますが、法的リスクや従業員の反発を考慮し、慎重な対応が求められます。変更を検討する際は、弁護士や社会保険労務士など専門家に相談しながら、合理性の確保、丁寧な説明、経過措置の導入等の対策を徹底し、トラブルを未然に防ぎましょう。

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