各種休暇の中で、従業員が時間単位で取得できるものとして年次有給休暇と子の看護休暇・介護休暇(以下、「子の看護休暇等」という)があります。それぞれの取扱いの違いに着目し、内容を確認します。
■ 子の看護休暇・介護休暇とは
- 子の看護休暇:
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は年5日(当該子が2人以上の場合は10日)まで、病気・けがをした子の看護又は子に予防接種・健康診断を受けさせるために休暇が取得できる。 - 介護休暇:
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)まで、介護その他の世話を行うために休暇が取得できる。
■ 労使協定の位置づけ
年次有給休暇は原則、暦日単位での取得になっており、時間単位で取得するには労使協定を締結する必要があります。
子の看護休暇等については、2021年1月1日より、労使協定を締結する必要はありませんが、時間単位でも取得できるようにすることが義務となりました。これは原則すべての従業員が対象になります。なお、子の看護休暇等を時間単位で取得させることが困難と認められる業務に従事する従業員を時間単位での取得から除外するときには、労使協定でその旨を締結することが必要です。労使で十分に話し合ってお決めください。
■ 取得単位の考え方
時間単位年休は、1時間未満を単位とすることはできず、1時間以上の単位での取得となります。例えば2時間単位での取得とすることもできます。この場合、労使協定にその単位となる時間数を定めます。
子の看護休暇等は、1時間単位での取得が原則であり、年次有給休暇のように2時間単位での取得とすることはできません。また、15分などの分単位で取得できるようにすることも法令を上回る取扱いとして認められます。
■ 1日の時間数の取扱い
1日分の年次有給休暇を時間単位年休に換算するときで、1時間未満の端数があるときは、時間単位に切り上げることになっています。例えば所定労働時間が7時間30分の場合、1日8時間と考えます。
子の看護休暇等も同様に考えることが原則ですが、分単位で取得できるようにした場合で、1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数があったとしても、従業員にとって不利益にならなければ、端数を時間単位に切り上げなくても差し支えないとされています。
■ 中抜けの取扱い
時間単位年休については、取得する時間帯を制限することはできません。そのため、所定労働時間の途中に時間単位年休を取得するいわゆる「中抜け」としての取得もできます。
子の看護休暇等については、始業時刻から連続、または終業時刻まで連続して取得することになっており、法令上は中抜けでの取得を認めていません。
なお、会社が任意で、子の看護休暇等に対し、中抜けの取得を認めることは問題ありません。また、既に「中抜け」ありの休暇を導入している企業が、「中抜け」なしの休暇とすることは、労働者にとって不利益な労働条件の変更となりますので、ご注意ください。
時間単位年休 | 子の看護休暇・介護休暇 | |
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労使協定の締結 | 必要 | 不要 但し、一部従業員を除外する場合は、その旨の締結が必要となる。 |
取得単位 | 1時間未満は不可 1時間以上の単位で取得可能 |
原則1時間単位 分単位での取得も法を上回る取扱いとして可 |
1日の時間数の取扱い | 1時間未満の端数は切り上げ | 原則、1時間未満の端数は切り上げ |
中抜け | 取得可 | 法令上は認めていない |
時間単位年休と子の看護休暇等の時間単位での取得について、取扱いを整理すると、上記のようなさまざまな違いがあります。 細かな点の認識がされていないこともあるため、 この機会に再確認しましょう。