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投稿日:2025年1月1日

2025年4月に新設される2つの育児休業等給付

国は、少子化や労働力人口の減少など喫緊の課題を踏まえ、次世代を担う若者が安心して結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるよう、「共働き・共育て」を推進しています。それを受け、2025年4月から変更となる雇用保険制度がいくつかあります。

今回は、その中から育児休業等給付に新設された「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」の制度と必要となる実務対応について確認していきたいと思います。

◆出産後休業支援給付

子供が生まれてから“夫婦そろって”育児休業(出生時育児休業を含む)を取得し、対象期間にその子を養育するための休業(以下、出生後休業)をした場合に、既存の育児休業給付に併せて最大28日間の出生時育児休業支援給付金を支給する給付制度です。
対象期間とは、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内を言います。

【受給要件】
① 出生後休業(当該子について2回以上休業を取得する場合は初回の出生後休業)を開始した日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12か月以上であること
② 対象期間内にした出生後休業が通算して14日以上であること
③ 被保険者の配偶者が対象期間内にした出生後休業が通算して14日以上であること

なお、休業を開始した日前2年間に疾病・負傷等により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(最大4年間)について、みなし被保険者期間を算定します。

また、配偶者がいない場合や配偶者が雇用保険の被保険者でない場合など一定の要件に該当する場合には③の要件は適用されません。

【給付内容】
出生後休業支援給付の支給は最大28日間、休業開始前賃金の13%が支給されます。
これにより、育児休業給付または出生時育児休業給付と合わせ休業開始前賃金の80%が支給されることとなります。

なお、育児休業給付金の支給対象となる休業は原則2回、出生時育児休業給付金の支給対象となる休業は2回まで、分割取得できることになっていることから、同一の子についての出生後休業を5回以上取得した場合は、やむを得ない理由がある場合を除き、5回目以降の出生後休業について出生後休業支援給付金は支給されません。

【支給申請】
出生後休業支援給付は、育児休業または出生時育児休業の取得が前提となりますので、支給申請は育児休業給付金または出生時育児休業給付金と併せ、原則、事業主経由で行うことになります。ただし、被保険者が配偶者に関する関係書類を事業主に提出することを望まない場合には被保険者本人が申請手続きを行うことも可能とされています。
申請書類についても簡便化され、育児休業給付金や出生時育児休業給付金の申請と兼ねた様式になるようです。

◆育児時短就業給付

2歳未満の子を養育するために時短勤務をし、それにより従前よりも賃金が低下した被保険者を対象とする新しい給付制度です。
対象となる期間は、被保険者が育児時短就業をすることとする一の期間について、初日及び末日を明らかにしてする申出に基づいて育児時短就業をした期間です。

なお、次のいずれかに該当することとなった場合には、その日後は支給されません。
① 子の死亡若しくは養育しない事となった事由として公共職業安定所長が認める事由が生じたこと
② 育児時短休業の申出に係る子が2歳に達したこと
③ 産前産後休業、介護休業、育児休業期間が始まったこと
④ 新たな2歳未満の子について育児時短就業が始まったこと

【受給要件】※いずれかに該当
① 育児時短就業(当該子について2回以上育児時短就業をする場合は初回の育児時短就業)を開始した日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12か月以上であること
② 育児休業給付金に係る育児休業終了後または出生時育児休業給付金に係る出生時育児休業終了後、引き続き育児時短就業をしたとき

出生後休業支援給付と同様に、休業を開始した日前2年間に疾病・負傷等により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(最大4年間)について、みなし被保険者期間を算定します。

【給付内容】
支給対象月ごとに算定され、給付金の額は各支給対象月に支給された賃金額によって、支給された賃金額の10%を上限に支給されます。

 支給対象月に支給された賃金額が育児時短就業開始時賃金日額×30の90%を下回る場合
  支給対象月に支給された賃金額×10%

 支給対象月に支給された賃金額が育児時短就業開始時賃金日額×30の90%以上100%未満の場合
  支給対象月に支給された賃金額×10%から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率

【支給申請】
申請の手順は高年齢雇用継続給付と似ています。初めて育児時短就業給付金の支給を受けようとするときは、支給対象月の初日から起算して4カ月以内に「育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金申請書」を提出する必要があります。
申請時には休業等開始時賃金証明票、母子健康手帳、労働者名簿、賃金台帳など、対象となる子がある事実、1週間の所定労働時間が短縮されていることの事実、賃金の支払い状況及び賃金の額を証明することができる書類の添付が必要です。

 

今回の改正で新設された2つの育児休業等給付は、どちらも原則は事業主経由での申請になります。
また、対象となる従業員の確認や説明も必要となってきます。
年明けの忙しい時期ではありますが、制度の内容をしっかりと確認し、社内フローの作成など準備を進めていきましょう。

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