~代表・三輪康信からのメッセージ~
「形が心をつくる」
社内木鶏会感想文 & チアレッジタイムズ委員会より
「形が心をつくる」
こちらでも「鴨居と障子」というテーマでとりあげた道場六三郎さんの記事(「致知」2024年5 月号)に感動した王貞治さんは200 冊を買い上げて、ホークスの選手たちに配ったそうです。その縁で実現した両氏の対談(「致知」2024 年10 月号特集記事)の中で、道場さんは「布巾はきちんときれいに畳んでおく、包丁の刃は自分の方に向ける、ガス台が吹きこぼれたらすぐに拭く、こうしたことを頭で考えてやるのではなく、自然と身に着けていかなければならない。隙だらけだから口酸っぱく注意する」と語られていました。
当たり前のことを当たり前にやり続ける「凡事徹底」です。「やろう」と思いさえすればできることは、「やった方がいい」とわかっていても、やりきれなかったりしますが、挨拶する、感謝する、ゴミが落ちていたら拾うといったことと同様、そうした行動が心の開発に、そして人間力につながるのでしょう。しかも「やったら良くなる」と言ってくれているから希望が湧いてきます。
目に見えるものの形を整えることで心を整えることができる
人間力=人間性(心)+形(表情、態度、所作、言葉、行動)
これは私が思う「人間力の方程式」です。「あの人、大変そう」と思っても「どうぞ」とその人に電車の中で席を譲れなかったら、「有難い」と思っていても感謝の気持ちを表せなかったら、何の意味もありません。つまり、どんな人間性をもっていてもそれを形として表せなかったら価値がありません。
また、「心は形を求め、形は心をすすめる」という言葉があります。仏教の教えで「心を整えたくても心そのものは形を持たない。だが、所作や行動といった、目に見えるものの形を整えることで、心を整えることができる」という意味だそうです。
書道、茶道、剣道、柔道というように「道」がついているのも「強いだけではダメ、目的は心磨き。形を整えることで心を整えることができる」ということ。「布巾を畳む」という形を通して「心を整え、磨く」、落ちているゴミを拾うことで氣づきの力を、人間力を高めていく、「落ちているゴミに氣がつかない人はお客さんの表情や態度の変化に氣づけない」と、道場さんは言いたいのではないでしょうか。
圧倒的な練習も形の一つ
プロであれば、自分で自分に力をつけていくしかありませんが、集団で何か同じことをするとか、やらなければいけないという環境に身を置くことで、他者の力を、環境の力を借りて形が心をつくるそれを行うことができる、形から心がつくられていくということもあるのだと思います。
王さんに〝一本足打法〟を伝授した荒川博コーチとの出会いは入団三年目のシーズンが終わった頃だったそうです。それまでの王さんは「思うように打てないと面白くないから、つい銀座に行って遊んでいました。練習もそれなりにやっていましたが、最低限の決められた時間しかしていませんでした」と語られていて、私も「えっ!あの王さんにもこんな時代があったのか!」とビックリしたんです。
けれども荒川コーチとマンツーマンで練習するようになり「それまでの自分がいかに生半可だったか、何も練習していないに等しかったかに気づかされ」「人間扱いされていない、とにかくむちゃくちゃに厳しい練習」を「最初は嫌々やっていたが、首根っこを掴まれて逃げられない状況の中でとにかくもうやるしかありませんでした」、そして「続けていくうちに結果も出るようになると、練習に身が入るようになって…荒川さんのおかげで目覚めさせていただき、徹底的に鍛えられたことで私の人生はガラッと変わりました」とおっしゃっています。
その積み重ねが技術だけでなく心の成長、人間力にもつながっていく
圧倒的な練習量、そうした「量」からつくりだされたものがあるということなのではないでしょうか。やれることをやりきっていくことで心がついてくるということもあるのだと思います。実は私も野球部出身です。正月くらいしか休みがなく練習漬けの毎日を送った日々、とにかくバットを振って振って振り続け、手の皮がボロボロになっても振り続けた日々は「あの日々に比べれば」とこれまでの職業人生の中で、何度も自分を支える支柱となってくれました。
人間は弱いから逃げたくなるし、手を抜きたくなるし、サボりたくなります。「そこまでしなくても…」と、逃げ出すための他責の囁きが自分から、周囲から降り注ぎます。親切心で「やりすぎだよ。こんなことしていたら身体壊れちゃうよ」と言ってくる人もいます。
けれども厳しい環境も一つの形だし、道場さんが色々なことを細かく言うのも氣づきの心を育む一つ。「布巾を畳む」一つにしても、単に畳むのではなく、布巾の端と端、角と角が揃っていることが畳むということ、そこまで徹底してやっているかどうか。表情、態度、所作、言葉、行動にしても、「こうしたらよい」とわかっていても当たり前のことですらもなかなかやりきれないもの。それでもとにかくやってみる、圧倒的な量をもってやり続けることで、いつしか身についていくし、その「徹底」こそが一流たりえる所以なのかもしれません。
そして最後に、王さんが荒川コーチに選ばれる人間力を持っていたことに触れなくてはなりません。荒川コーチの時間を独り占めできたのは、王さんの「人間力」があったからでしょう。荒川コーチがある対談で「習い方がうまい人とは、習う素直さがある人だ」と仰っています。王さんの素直な心が荒川コーチの心に火をつけたんですね。習う素直さを大切にしていきたいと思います。
【社内木鶏会 感想文】
*人間学を学べる月刊誌「致知」をテキストに「社内木鶏会」を毎月、開催しています。全員が指定された記事の感想文を発表し、その中で選ばれた感想文です。
<対談 iPS細胞を活用したがん治療で夢の医療を実現する> iPS細胞の作製に世界で初めて成功した山中伸弥氏のノーベル賞受賞から12 年。iPS細胞から作製した免疫細胞を使ってがん免疫再生治療を目指す金子新氏と、(公財)京都大学iPS 細胞研究財団アドバイザーの高田明氏に、プロジェクトの現状と今後の可能性、物事を成就する秘訣、これまでの研究人生を貫いてきたものについて対談いただいた。 |
<今月の選出感想文>
本対談を読んで思い出したものがあります。スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの「Connecting The Dots(点と点を繋ぐ)」です。
『将来を予め見据えて点と点を繋ぐことは不可能です。しかし10 年後に振り返ってみると、その繋がりは、とてもハッキリと見えます。後になって振り返ってみないことには、繋ぎようがないのです。だから将来、どうにかして点と点が繋がると信じなければなりません。根性、運命、人生、カルマ(業)、何であれ信じなければならないのです。点と点がいつか繋がると信じているからこそ、自分の心に正直になれるのです。例え、それが常識外れの道だとしても、それが(他の人との)違いになるのです』というものです。
本対談の金子氏は一貫して、がん免疫再生治療について研究していますが、一方で、「綿密に考えていたわけではなく、目の前の課題にコツコツ向き合ってきた」とおっしゃっています。様々な課題や挑戦を経験されたからこそ、点と点が繋がるように、iPS 細胞の論文とがん治療を結びつけるようなひらめきがあったのだろうと思います。
例え、現状に不安があったり、苦しい時間があったとしても、未来の自分がどう思うかはわからない。なんてことないことが、知らぬ間に太い線に繋がる点になっているかもしれない。そう思うと、どんなときでも悲観的になりすぎず、まずは目の前のことをこなし、進んでいこうという気持ちになれるのではないかと思いました。
〔DX チーム:林 景子〕
【仮想オフィスovice の活用】
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