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代表三輪のコラム

投稿日:2024年4月25日

No24 業績が良いから社員に報いることができるのか、 社員に報いるから業績が良いのか

~代表・三輪康信からのメッセージ~
業績が良いから社員に報いることができるのか、
社員に報いるから業績が良いのか
社内木鶏会感想文 & チアレッジタイムズ委員会より

業績が良いから社員に報いることができるのか、
社員に報いるから業績が良いのか

2024 年 3 月号の「日経トップリーダー」誌の特集記事「人が集まる会社、人材が離れない会社」に取り上げられていた松川電氣(静岡県浜松市、小澤邦比呂社長)、AT グループ(群馬県前橋市、堀切勇真 CEO)、シンコーメタリコン(滋賀県湖南市、立石豊社長)、Asobica(東京都品川区、今田孝哉 CEO)に共通するのが「〝社員の幸せ〟をうたう組織」でした。

<CASE1>松川電氣

電気設備工事、プラント設備工事などを手がけ、社員数は 50 人程度、2023 年の売上高は15.4 億円。「実質定年制なし(現在 4 人の 70 代社員が活躍)、年代別特別有給休暇(法定以外に 20 代は 2 日、70 代は 7 日)、社員の家族も対象の福利厚生制度多数」とあります。
小澤社長は「良い仕事を提供するには社員が幸せでなければいけない。だから社員を幸せにしようという経営を続けている。社員が自分の会社を好きかどうか、それが一番大事。そこにいると幸せになる、人を成長させてあげることができる、そういう会社になろうと思っています」と語っていました。地域への恩返し、困っている人への支援など社会貢献に 30 年以上、全社員で取り組んでおり、「ああいう会社ならば…」と親に薦められ入社した社員もいるそうです。

<CASE2>AT グループ

社員数 300 人ほどで、昨年の売上高は 109 億円。廃棄物の収集、運搬から中間処理、最終処分、リサイクル、環境関連事業を一貫で手がけています。
グループ全体のフィロソフィーは「会社とは〝社員とその家族を幸せにするために存在する〟」。創業以来、定年まで辞める社員はほとんどおらず、採用面では社員や知人の紹介によるリファラル採用が 9 割、人材がひっ迫するドライバー職でさえ、希望者に「面接を待ってもらっている」状況です。
広い吹き抜けがある共有スペース、本格的なトレーニングジム、休憩時間に音楽の練習ができる防音スタジオがある社屋には、体力回復のための酸素ボックスも備えられています。

「働く人が搾取されない会社をつくりたい」が創業の DNA

堀切勇真・現 CEO の「利益がたくさん出て豊かになってから社員に還元する、これは誰にでもできます。当社の場合、最初から社員への還元、社員の幸せという理念が先にありました。人間は自分が幸せとか恵まれていると思い、心に余裕ができると自然にそのお返しをしようとするもの」という言葉もとても響きました。実際に AT グループの人件費は業界(黒字企業)平均の 1.67 倍、労働分配率は 75%に達したこともあるそうです。
勇真 CEO の父でもある AT グループの創業者、堀切健吉氏は日産自動車に勤めていたのですが、九州への転勤を断ったところ、廃棄物処理会社に出向となり、さらに出向先が買収した同業会社に送り込まれます。それでも頑張って生み出した利益が、親会社に吸い上げられた経験から、「頑張って働いた人に還元できる理想の会社をつくりたい」と仲間 3 人と共に独立、「その DNA は今に受け継がられている」と言います。創業は 40 年ほど前ですが、現在は M&A によって 6 社からなるグループ会社になっています。

「社員を大切にする」マインドがいい循環を生んでいく

同じサービスを提供する他社との差別化を図っていくのは、やはり人。「どれだけいい人が会社の中にいてくれるか」がベース。「幸せだ、恵まれていると満足して人が働いている組織」であれば自然と発展していきます。であれば、それをどう実現していくかです。
人を大事にするというマインドがあるから、皆の心の状態が整うし、従業員も頑張っていいサービスを提供する、そしてお客さんが増えていく。そうしたことが現実をつくっていくのではないでしょうか。AT グループのそういう価値観が従業員だけではなく、納入業者などのお取引先にも伝わり、その人たちが協力者に変わっていくといった循環ができていったとも考えられます。

ロマンに算盤がついてくる

お金がない状態は、心に余裕がなくなり、色々なトラブルを生む要因にもなります。経営者としては「もっと余裕ある生活ができる給与を支払ってあげたい!」と思います。でも、「上げてしまった後に業績がついてこなかったら…」という恐れもついてまわります。AT グループは創業者の経験、理念もあったから「従業員への還元」へと振り切れたのでしょうか。
一つ言えるのは離職が少ないことは大変な利点です。人が入れ替わるって実は大変なコスト。雇うのも、その人をまた一から教育していくのも大きなコストがかかりますから、人が定着することで、その分、人件費にまわすことができます。
それに振り切ることで差別化できる業界でもあったのでしょう。業界自体があまり整っておらず、当然、なかなか人も集まらない中「ここは人を大事にしてくれる」となれば、人も集まります。これだけの環境を整えている会社はそうそうありませんからインパクト大です。
あるもの中でどうするかを考えるより「社員にはこれぐらいの処遇は必要だ」と考えて、まず、それを用意する、そのために何をすべきかを考えるという発想こそが必要なのではないでしょうか。
当社の創業当時からのおつきあいなんですが、ある訪問介護会社の会長は「みんな頑張っているから給料上げてあげたいよね!」「どうしたらもっとモチベーションが上がる制度がつくれるかな?」と日々、考えられていて、実際にベースアップを決行していました。「社員を幸せにするのって当たり前じゃない!会社をやっているのもそのため。他に何があるの?」って。いつも夢のような理想を語られますが、その話しを聞くのも大好きです。もちろん、この会社も人不足とは無縁だし、どんどん発展しています。

【社内木鶏会 感想文】

*人間学を学べる月刊誌「致知」をテキストに「社内木鶏会」を毎月、開催しています。全員が指定された記事の感想文を発表し、その中で選ばれた感想文です。

<指定記事~ 対談「日本の底力を発揮する時が来た」>
京都大学名誉教授 中西輝政氏と、国家基本問題研究所理事長 櫻井よしこ氏による対談。日本が抱える内憂外患は深刻さを増す一方で、混迷窮まれり感は否めない。そのような時代を生きる私たちにとって大切なことは何か。両氏が口を揃えるのは、世界最古を誇る我が国の歴史を学び、志を立て、未来への希望を抱いて前進することだという。今こそ日本人の覚醒、精神の甦りが問われている。

<感想文>
『人が事に処する上で大切なことは、目の前のことは悲観的なほど堅実に手を打っていく。しかし、未来に対しては腹の底から大きな楽観を持てるよう常に心を調え、物事を大きく捉えるようにする』これが事を成すにあたって一番大事な心の在り方だと述べられています。けれども、日々の行動や思考を振り返ってみると、目の前の短期的な視点で楽な道を選び、そのツケが巡って苦難に陥ってしまうことが多々あるのではないかと考えさせられました。
私の場合は短期的にも長期的にも楽観的に考えてしまいがちな面もあり、「今」が良ければそれで良しとしてしまう甘えが蔓延っていると自省しました。仕事においても、最終目的に対していくつもの目標を立て遂行していくことは多々あります。この目標の難易度を、自分の尺度で下げていないか、短期的・スポット的な思考に陥っていないか、目的達成のための最善の策なのか、改めて問い直すことが重要だと感じました。
現在の自分の状況・立ち位置を客観的に判断した上で長期的な目的達成に向けて必要な施策をとれるよう、視野や視界を拡げて、物事を大きく捉えられるような人材にならなければ成長は止まってしまうと思います。やるべきことを確実・堅実に実行し、社会、そして自分自身の未来への希望にしたいと思います。
〔管理部:野田陽子〕

【〝美点凝視″で好循環】

チアレッジでは毎月社内木鶏会を開催しており、致知の指定記事を読み、感想文を発表し合います。その際には、「『美点凝視』:お互いがお互いの素晴らしいところをしっかりと見つめて評価する。そして、その結果として、お互いがお互いの人間性を尊敬しつつ共に成長する」ことを大切にしています。
仲間から褒められるとむず痒い気持ちになるとともに、普段どのように見て、感じてくれているのかがわかり、嬉しい気持ちにもなります。
仲間同士の信頼関係が高まる、気持ちのいい好循環です。

-代表三輪のコラム