人口減少による人手不足が急速に進み、高年齢者の活躍がより一層期待されるところです。
総務省の労働力調査によれば、2023年9月における就業率は、60歳以上64歳未満で男性84.4%、女性63.8%、また、65歳以上では25.2%となっており、多くの方が定年後も働き続けています。
会社としても、知識や経験が豊富なベテラン従業員にはより長く働いてほしいところです。しかし、定年後の継続雇用や再就職の場合、業務内容や役職の変更、事業状況等の理由により、賃金等の待遇は従前より低下する傾向にあります。
そこで、雇用保険では、60歳到達時や離職時に比べて賃金が低下した場合、一定の要件を満たす被保険者に対して「高年齢雇用継続給付」を支給しています。定年後の従業員を継続雇用する場合や60歳以上の方を雇用する際、高年齢雇用継続給付の支給を念頭に、継続雇用後の賃金等を検討している会社もあるかと思います。
この高年齢雇用継続給付について、先日、2025年4月からの支給率引き下げが発表されました。現在、最大15%となる支給率が10%へと引き下げられます。また、支給率の基準となる「各月に支払われた賃金の低下率」についても範囲が変更されています。
詳しい支給率は以下の表をご確認ください。
令和7年4月1日以降の支給率
対象となるのは、2025年4月1日以降に60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)を迎えた方です。
早いところでは年明けから次年度の契約内容について検討を始められると思います。高年齢雇用継続給付金の支給が少なくなりますので、対象となる従業員の把握や継続雇用の希望を確認しながら待遇を決めていく必要がありそうです。
支給率の早見表も公開されていますので、高年齢雇用継続給付の支給額を確認しながら検討すると良いでしょう。
支給率早見表(令和7年4月1日以降)
60歳到達等時点の賃金月額(60歳に到達等する前6か月間の平均賃金)と比較した各月に支払われた賃金額の低下率に応じた支給率を、各月に支払われた賃金額に乗ずることにより支給額がわかります。