~代表・三輪康信からのメッセージ~
「当たり前の基準」を下げる
社内木鶏会感想文 & チアレッジタイムズ委員会より
「当たり前の基準」を下げる
「当たり前」の反対は「有難い(有ることが難しい)」
『致知(2024 年11 月号)』に掲載された諏訪中央病院名誉院長・鎌田實氏と臨床心理士・皆藤章氏の対談記事を読み、「人間は必ず死ぬ」という原理原則について深く考えさせられました。「自分が死ぬ」ということを想像してみたことはありますか?なかなかイメージはわかないのではないでしょうか。
私の同級生で介護老人保健施設の副施設長をしていた人がいました。私もその施設で研修を行ったりしていました。ところが、「これからだね!」という時に、彼は舌癌を患い、1 年も経たずに40 歳で亡くなってしまったんです。11 月18 日が命日です。
酸素ボンベをつけながら私とお酒を飲み、「もっと色々、やりたかったなぁ…。これからだったんだよ!色々、やりたいことあったんだけど、でも、もう、できないんだよなぁ…」と少しうつむきながらボソッと語った彼の顔、今でもよく覚えています。
「生きていることは当たり前」ではないし、いつ死ぬかもわかりません。普段の日常を、生きていること、健康であること、家族がそばにいること、仕事があること…。そうした「当たり前」の状況が、実は「有り難い」ものであることに気づくことはなかなか難しいものです。
放っておくと「当たり前の基準」はどんどん上がっていきます。すぐに上がります。スタッフや家族に対してもそう。日々、接しているうちに、どうしても「当たり前の基準」も要求のレベルも高くなってしまいますので、それを放置すれば、不平不満が出てくるのは当然の結果です。
「リセットする」「当たり前の基準を下げる」時間をつくる
私の場合は、他者に対して「やってくれて当たり前」の基準を下げるようにしています。そして「いてくれることの有難さ」を考えます。当社のスタッフでも、朝からいつも元気なスタッフがいて「有難いな」と思います。
先日、椿山荘で両親の金婚式をしました。その際に、手紙を書いてプレゼントしたら、とても喜んでくれました。本当は二人の目の前で手紙を読み上げようと思っていたのですが、泣いてしまいそうで…。そういうことも「いつまで生きているかわからない」「生きてくれていて有難い」と思うから、考えるし、「やってあげたい」と思えます。けれども人間はすぐに「有り難さ」を忘れます。「親って、いつまでもいるわけではないんだよな」とわかってはいても、その思いは日々、日常を送るうちに薄れてきてしまいます。
だからリセットが大事です。マンダラ手帳(「中心核を持った3×3 の9 マス」のマトリックス=マンダラチャートを使用した目標設定ができる手帳)を見る、トイレ掃除をする、これは「当たり前の基準を下げるため」の私自身の毎朝のルーティンです。毎日、7 時前に事務所に来て、誰もいない事務所で、色々、書きこんだ手帳を見ながら10 分くらい振り返りをして「当たり前の基準を下げる」時間をつくっています。
「人間力とは当たり前の中にある有難さに気づく心の力」
先日の講演会で藤尾佳子さん(致知出版社取締役・致知別冊『母』編集長)が話されていたこの言葉に様々なことが集約されているように感じ、何度も反芻しています。そして、改めて「当たり前の基準を下げること」の大事さに思い至りました。
日常の中で「もっとこうしてほしい」「これくらいはできて当然だ」という気持ちが出てくるのは、当たり前の基準が上がっている証拠です。基準が高くなればなるほど、周囲への不満や苛立ちが生まれます。
逆に言えば、「当たり前の基準」を下げることができれば、感謝や喜びが自然と生まれます。「当たり前」の基準を下げる、見直すことで、自分の中に「有難さ」を感じる余地が生まれます。短い時間でも、自分の健康や周囲の人々の存在に改めて感謝することで、不満が和らぎ、気持ちが穏やかになります。
家族や仕事仲間の存在を見直してみると「当たり前」と思い込んでいたことが「いかに貴重で幸せなものか」に気づけます。こうした小さな意識の変化が、より良い人生につながっていくし、大事なことではないかと思っています。
自分以外の人や環境といったコントロールできないものに対しては当たり前の基準を下げ、自分でコントロールできる仕事の質や自分の言動については当たり前基準を上げていきたいと思います。
【社内木鶏会 感想文】
*人間学を学べる月刊誌「致知」をテキストに「社内木鶏会」を毎月、開催しています。全員が指定された記事の感想文を発表し、その中で選ばれた感想文です。
<対談 この道より我を生かす道なし この道を歩く> 和食の神様・道場六三郎氏(93 歳)と世界のホームラン王・王貞治氏(84 歳)。若い頃から心技体を錬磨して並外れた実績を上げ、高めた自分で以て後進を導きながら今なお第一線で活躍し、業界のレジェンドとして存在感を放つ。二人の人間学談義から、「人はいかにして大成するか」「勝負を制する要諦」「逆境に処する心得」を学ぶ。 |
<今月の選出感想文>
王貞治さんと道場六三郎さんの対談を読んで、それぞれ異なる世界で一道を極められたお二人の共通点は〝結果よりも過程〟に重きを置いていることだと感じた。野球では優勝回数や打率、料理では口コミ数やメディア掲載回数など、どちらも目に見える結果が表れやすい世界だと思う。華やかな数字に目が奪われがちだが、それまで時間をかけて育てた基盤こそが大切なのだと改めて考えさせられた。
「基本に忠実に」「目標を掲げ貫き通す」「人を大切にする」
小細工せずに努力を積み重ね、人を大切にする。こういったシンプルな心得が基盤をより強固にするのだろう。逆境や試練に直面した時、へこたれるのではなく、この逆境は次のステップに進むために必要不可欠なものだ!と思える人間になれたらどんなにいいか。
『致知』でもよく逆境を乗り越えたエピソードが紹介されている。そうなりたいなと思うし、そう考えるんだと頭ではわかっているのだけど、今の自分はまだ基盤が弱く、まだまだ逆境にのまれてしまいそうだ。道場さんがおっしゃっていた「小さな勇気」で一歩踏み出してみるのも、やっぱり怖さと億劫さが勝ってしまう。だが、「一歩勇気を出して飛び込むか飛び込まないか。それが積み重なって大きな差になっていく」とおっしゃっていたので、すぐに結果を出そうとせずに、今は基盤を整えている最中だと思ったら少し気が楽になった。近い将来に目線を向けて、時間をかけて基盤をコツコツ構築していこうと思う。
〔労務チーム:大塚 祥恵〕
【編集後記】
今年も残すところ1 ヶ月となりました。皆様にとりまして、2024 年はどのような年でしたでしょうか。忙しい時期ではありますが、この1 年を振り返り、ゆっくりと思い出に浸る時間を作りたいものですね。今年できたことも、できなかったことも、自己成長の糧となるよう、未来に向けて意義あるものにしていきたいと思います。 チアレッジは引き続き「はたらく人を元氣にして、会社と社会を元氣にする」という理念の基に、皆様のお役に立てるよう取り組んでまいります。 今年も大変お世話になりました。少し早いですが、よいお年をお迎えください。 チアレッジタイムズ委員会一同 |